商品紹介のない和菓子屋のサイトを、作り直した話

広島でホームページの制作と保守をしている川島です。

いま、広島市内の士業事務所のサイトを一件ずつ見て回っています。営業先を探すためだったのですが、見ているうちに、あることに気づきました。

どこも「業務案内」から始まっている。

相続、法人税、記帳代行、給与計算。事務所が扱える仕事が、順番に並んでいます。間違ってはいません。ただ、探している側から見ると、少し読みづらい。自分がどれに当てはまるのか、しばらく考えることになるからです。

この既視感には覚えがありました。1年ほど前、まったく違う業種で、同じ問題を解いていたからです。

和菓子屋さんのサイトでした。


商品紹介のページが、なかった

福山市で饅頭を作っている和菓子屋さんです。コミュニティで知り合った方が、ちょうどサイトのことで困っていると話されていて、そこから始まりました。営業で取った仕事ではありません。

拝見して、まず驚いたことがあります。

商品を紹介するページが、ありませんでした。

サイトはブログ形式で作られていて、更新するとお知らせが上に積まれていく仕組みでした。書いたものは流れていきます。つまり、何を売っているのかを確かめる場所が、どこにもない状態でした。

もうひとつ、ネットショップの機能が付いていたのですが、こちらもほとんど動いていませんでした。使っていたサービス側から「システムが古くなっていて、これ以上は対応できない」と対応されたそうです。

直す道もあります。ただ、実質使われていないものを直すために、限られた予算を使うことになる。

そこでご提案したのが、いったん全部まっさらにして、まずホームページを作り直すことでした。ネットショップは今回は作らない。予算の都合もありましたが、それ以上に、先に決めるべきことがあると思ったからです。


先に決めたのは「和菓子とは何か」

ゼロから作るとなると、困ることがあります。何から書けばいいのか分からない。

商品の説明を書くにしても、どういう順番で、どんな言葉で書くのか。それを決めないと、結局また情報が並ぶだけになります。

そこで、店主さんと話しながら決めたことがあります。

この店にとって、和菓子とは何なのか。

出てきた答えは、「食べるもの」ではありませんでした。

人と人のあいだをつなぐもの。

お世話になった方へのお礼。実家に帰るときの手みやげ。法事の引き物。
和菓子は、たいてい誰かに渡すために買われています。自分で食べるために買う人も、もちろんいます。ただ、この店の場合、渡すために買う人のほうが多かった。

それが決まると、書くべき言葉が決まりました。

お菓子を贈るたびに、つながる


商品ではなく、用途で分けた

いちばん大きく変えたのは、ここです。

普通、和菓子屋のサイトは商品で分けます。饅頭、カステラ。作っている側からすると、これが自然です。

でも、買う人はそう考えていません。

「実家に帰るのに、何か持っていきたい」 「お世話になった方に、お礼を贈りたい」 「せっかく来たから、この土地のものを持って帰りたい」

同じ饅頭でも、この3つでは選び方が変わります。
手みやげなら気軽さ、贈り物なら箱の見栄え、お土産ならその土地らしさ。

そこで、トップページを3つに分けました。

  • 気軽な手みやげに
  • 贈り物に
  • お土産に

それぞれに写真を1枚と、短い説明と、「商品を見る」ボタン。自分がどれなのかは、読む前に分かります。

お土産のところには、こう書きました。

アクセスが少し不便だからこそ、特別感もひとしお。

店は、駅から近いとは言えない場所にあります。隠しても仕方がないので、そのまま書きました。わざわざ行った、という話ごと渡せるほうが、贈り物としては強い。


写真は、店主さんに撮ってもらった

話しているうちに、店主さんがカメラをやっていることが分かりました。

それなら、と撮影をお願いしました。既にあった写真と合わせて使っています。

外注していれば費用がかかります。ただ、それ以上に大きいのは、これから先も自分で撮れるということです。

新商品が出たとき、季節の限定品を出したとき、誰かに頼まなくていい。サイトは公開してからのほうが長いので、そこで止まらない形にしておきたかった。

同じ考えで、サーバーとドメインも移しました。古い会社のまま年間6万円ほど払われていたので、エックスサーバーに移して、年13,200円になっています。契約はすべてお店の名義のままです。手続きのやりとりはこちらで全部やりましたが、名義を預かることはしませんでした。


例えば、士業事務所のサイトに置き換えると

冒頭の話に戻ります。

業務案内は、和菓子屋でいう「商品一覧」です。扱える仕事が、作っている側の分類で並んでいる。

これを用途で分けると、たとえばこうなります。

  • 相続が起きてしまった方へ
  • 会社を継ぐ準備をしている方へ
  • 独立して、初めて申告する方へ

中身は同じ税務相談です。ただ、探している人の状況が違う。相続で来た人と、独立したばかりの人では、不安の中身がまったく違います。

そして、たいていの場合、サイトを作り直す必要はありません。見出しの付け方と、並べる順番を変えるだけで届き方が変わることのほうが多い。

和菓子屋さんの場合は、商品紹介のページ自体がなく、ネットショップも動かせない状態だったので、作り直したほうが早いと判断しました。そうでないほうが、たぶん多数です。

どちらなのかは、見てみないと分かりません。それを先に確かめるところから、いつも始めています。

← 記録の一覧へ

まず、30分の相談から。

URLとお困りごとを一行いただければ、まず30分うかがいます。相談は無料で、その後の営業もしません。